◎当院の皮膚科診療方針
当院は皮膚科の診療を重視し、対応が難しい症例にも積極的に取り組んでいます。慢性的な痒みに悩む患者さまに対して、包括的かつ個別化されたアプローチを実施しています。
【慢性的な痒みへの対応】
多くの場合、痒み止めやシャンプー、サプリメントによる対症療法が一般的ですが、これらの方法では長期的な管理が困難なことがあります。近年、様々な新薬が開発され痒みを抑える薬が増えたことや副作用の軽減が期待できるなど、素晴らし進展がありました。しかし、依然として痒みに悩む患者様が多く存在するのが現状です。
当院に来院される患者さまの中には、アトピー性皮膚炎と診断したものの、痒みが改善されない患者様がいます。多くの場合、アトピー性皮膚炎の可能性を否定できないものの、その前に治療すべき疾患・体質や改善すべき生活環境をお持ちの方が多くいらっしゃいます。当院ではこれらの疾患・体質の治療や生活環境の改善により、痒みが軽減できた方を多く確認しています。
すべての皮膚疾患を管理できるわけではなく、期待に応えられないこともあるかもしれませんが、辛い痒みの改善のため、ぜひ診察させていただきたいと考えています。
【当院の特徴的なアプローチ】
1. 原因の再検討:痒みの本質を見極める努力から始めます。実際には痒みではなく、痛みや舐めたい欲求である可能性も考慮します。
2. 広範囲な鑑別診断:多角的な視点から症状の原因を探ります。考慮する主な要因には以下が含まれます。
– 皮膚炎
– 感染症
– 先天的体質・疾患
– 内分泌疾患
– 精神的要因
– 身体的要因
– 腫瘍
– 栄養
3. テーラーメイドな治療:単なる対症療法にとどまらず、根本的な原因を探り、治療・ケア方法を計画します。
【慢性皮膚炎・アトピー性皮膚炎への新たな視点】
アトピー性皮膚炎と診断された患者様の中には、いわゆる”狭義”のアトピー性皮膚炎に当てはまらないケースが多くみられます。痒み止め以外にも他の治療法やケアする方法をよく考えなければなりません。
それぞれの薬について利点と欠点をよく考え、治療を行なっていくことは副作用(例えば皮膚の菲薄化、皮下結合組織の脆弱化、筋肉量低下、易感染性など)の軽減と皮膚の健全化にはとても重要です。
当院では、従来の治療法にとらわれず、各患者様の状態に最適な治療法を模索し続けています。皮膚科の知識を活かし、難治性の症例にも粘り強く取り組むことで、愛するわんちゃんねこちゃんとご家族の生活の質向上を目指しています。